児童虐待の原因とは?親や周囲の大人ができる対策を知ろう

児童虐待この言葉を聞くだけでも胸が苦しくなるほどなのに
児童虐待についての報道は減らず、情報テレビやSNSでは日常的に取り上げられているのが現実です。
更に、子供だけではなく家族にまで傷を付けるような虐待も多く、社会で大きく問題視されています。

児童虐待はどのようなことが原因で引き起こるのか、こうしている今現在も虐待に苦しむ子供達の為に、児童虐待の内容その原因についてまとめていきます。

児童虐待の原因とは?親や周囲の大人ができる対策を知ろう

児童虐待の原因とは?

1.子ども虐待問題を発生予防の観点で捉えることの重要性(子ども虐待はなぜ起こるのか) 子ども虐待は、身体的、精神的、社会的、経済的等の要因が複雑に絡み合って起こると考えられている。虐待発生のリスク要因は明らかにされてきており、危機状況の家族や育児困難を感じている親子を見極めるための目安としては重要である。しかし、それらの要因を多く有しているからといって、必ずしも虐待につながるわけではない。適切に判断するためには、リスク要因とともに、虐待を発生させることを防ぐ防御因子とのバランスを意識してアセスメントすることが重要ある。主な虐待発生の要因は表2-1のとおりである。  特に最近は、少子化核家族化あるいはコミュニティーの崩壊に経済不況等の世相が加わっての生きづらさの現れとして語られており、特別な家族の問題という認識で取り組むのではなく、どの家庭にも起こりうるものとして捉えられるようになっている。保健・医療・福祉等の関係者は、このような認識に立ち、子どもを持つ全ての親を念頭に入れて、子ども虐待防止の取組を進めていく必要がある。

 (引用元:厚生労働省 第2章発生予防

児童虐待の原因はほとんどの場合、ひとつの事が原因ではなく様々な要因が重なったとき、家族関係が不安定になり自分の子供に対しての虐待が引き起こされます。

児童虐待の原因①親の要因

  • 親自身が虐待されていた過去・・・精神的なトラウマ
  • 育児ストレス、不安・・・子育てが思うようにいかないなどの不安からくるストレス
  • 病気、障害、精神的不安・・・産後うつアルコール依存症といった病気、体調不良による養育力の低下

児童虐待の原因②子供の要因

  • 手に負えない、育てにくい子供・・・こだわりが強い子やかんしゃくが激しい子
  • 病気、障害・・・先天異常の疾患や発達の遅れなど

児童虐待の原因③家族を取り巻く要因

  • 核家族化による不安・・・育児に関して相談できる身内が居ない
  • 夫婦関係が不安定・・・夫婦喧嘩が絶えない、 ドメスティック・バイオレンス(DV)
  • 経済的不安・・・収入低下、失業
  • 地域、社会的孤立・・・交友関係や近所の人との付き合いが薄い

なぜ子供に暴力を振るうのか?

児童虐待は実父母が行う場合が多い。中でも実母が最も多いのだそう。
では、なぜ子供に暴力を振るうのでしょうか…?
その理由を説明されても、気持ちを理解できないと思う人が大半だと思います。
そこで、虐待をしていた母親の心理を解説しているエピソードを見つけたのでご紹介します。

わずか1歳半の次男 黙らせるために叩いた
「やっぱりギャーギャー泣く時期、1歳半頃からスタートした。頭を張り倒し・・。吹っ飛んでも、それがなんか全然気にならないというか、ああまた泣いたわ、くらいにしか思わない自分がいた。『うるさいあなたが悪い』としか思っていなくて、『だから怒るんよ!』と。今思うと、都合のいい、言い訳だが、当時はそう思った。」
ヨシコさんの暴力の対象になったのは当時中学生だった長男ではなく、1歳半の次男だった。
「とにかくうるさいから黙らせるために叩いてしまい、もう止められなくなっている。止められなくなってまた叩いて続けてしまう。自分の手が痛いんですよ、パンパンになって。叩きすぎて。それで、叩くのをやめるという形だった。」
当時、虐待をしているという認識はあったかどうかという、島田キャスターの問いかけに、ヨシコさんは答えた。「全然なかった」と。

(引用元:FNNプライム「虐待 母の告白」)

このエピソードを語った母親は、実は自身も虐待された経験を持っていました。
しかし、夫は頻繁に家を空けることが多く、育児に協力的とは言えない状況の中、彼女は家計を支えるため看護師として働きながらの家事や育児。そして夜勤や残業続きの毎日に、次第に追い詰められ体力的にも精神的にも疲れ果てた頃に”児童虐待”が始まったのだそう。

「なぜ子供に暴力を振るうのか?」

それには様々な要因がありますが、多くの場合は自分が感じているあらゆるストレスによる八つ当たり、不安からくる現実逃避なのでしょう。

児童虐待の原因:公的機関に助けを求めても受け入れてもらえない

親は児童虐待行為をしてしまうことに苦しみ、政府の助けを求めて機関の窓口へ駆け込む親も居ます。しかし、実際に窓口に行って相談をするも何度も同じ話をさせられたあげく、偉そうな上から目線の言葉を浴びせられ、望んだ支援は拒絶されてしまう。

厄介者扱いをされているようで悩み、疲れきってしまうという背景にあります。

 

もちろん、児童虐待の原因を探り早期解決させようと行政側もさまざまな対応を行ってくれます。しかし前例がないなどの理由で、対応方法の判断に時間がかかる事もあるためいくつもの相談窓口を訪問しなければならないことがあります。

担当者まで案内してもらうまでの間にも、親子の関係は続いていますから、早期解決したいのに迅速な対応を受けることが出来ない親子の苦しみが、ネグレクトや身体的虐待といった児童虐待の原因になり、解決を遅延させているのかもしれません。

児童虐待の原因:子供を操り、良い親を演じたい

「良い親」「仲の良い理想の家族」とは何なのでしょう?

その捉え方は人によって違います。人によって違うはずなのに、時に親は周囲から強いバッシングを受けてしまうことがあります。

結果として、ストレスを抱えながら無理して「良い親」を演じ続けようとする親が出てきてしまいます。

周りに認められるような行動を、子供に強要し執拗にしつけようとしていつしか児童虐待を行う原因になっている事があります。

 (参考: https://cocoiro.me/article/16635/3#i-4)

平成30年度の児童虐待件数(厚生労働省調査)

2 平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)(別添2)
平成30年度中に、全国212か所の児童相談所児童虐待相談として対応した件数は159,850件(速報値)で、これまでで最多の件数となっている。

(引用元:厚生労働省(平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数及び「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果))

厚生労働省の調査によると、平成29年度の児童虐待件数は133,778件だったことに対して、平成30年度の児童虐待件数は過去最多の件数となっていることが発表されました。
この、児童虐待件数の主な増加の原因としては以下のことが挙げられます。

 ・心理的虐待に係る相談対応件数の増加
 ・警察や児童相談所等からの通告の増加

しかも、児童虐待相談件数の増加は今年だけに限らず、調査を開始してから28年連続で増加しているんだとか。この背景には国民の児童虐待に関する意識が高まったことに比例して通報・相談件数も増えたのだと考えられます。
この結果を受け止め、来年2020年4月には親から子供への体罰を禁止する「改正児童虐待防止法」と「改正児童福祉法」が施行されるという。

(参考:産経新聞)

児童虐待の内容とは?

児童虐待』に苦しむ子供たちは後を絶ちません・・・

しかし児童虐待といっても、内容は様々なものがあります。

厚生労働省では児童虐待の内容を4つの種類で分けているので、再度この記事でもご紹介します。

児童虐待の内容①ネグレクト

 児童虐待の内容の1つ目は、ネグレクトです。ネグレクト行為の定義は次の通りです。

家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

(引用元:厚生労働省 児童虐待の定義)

ネグレクトとは、保護者が振るってしまう児童虐待で、子供に対する適切な養育を放棄することをいいます。

そして、乳児が泣いていても無視し続けると、子供の精神的な発達が阻害されて人格形成に悪影響を与える場合がある。また、ネグレクトは家庭の中で起こることが多い虐待です。

児童虐待の内容②身体的虐待

児童虐待の内容の2つ目は、身体的虐待です。身体的虐待行為の定義は以下…次の通りです。

身体的虐待 殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

(引用元:厚生労働省 児童虐待の定義)

児童虐待といえば、身体的虐待のイメージが多いと思います。実際に子供に対して親が暴力を振るっているという事件は児童虐待として数多くニュースで報道されています。 また、上記の様に暴力を振るう事だけが児童虐待の原因ではなく、体の自由を拘束することも児童虐待とされています。 

児童虐待の内容③性的虐待

児童虐待の内容の3つ目は、性的虐待です。性的虐待行為の定義は以下…次の通りです。

性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

(引用元:厚生労働省 児童虐待の定義)

性的虐待行為は、親によるものだけではなく親族や学校の教師など、様々な大人から虐待を受けてしまう子供達が多く居ます。

児童虐待の内容④心理的虐待

児童虐待の内容の4つ目は、心理的虐待です。心理的虐待行為の定義は以下…次の通りです。

心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など

(引用元:厚生労働省 児童虐待の定義)

心理的虐待は、身体的虐待を行っていなくても発生してしまいます。 子供に対して強い言葉を浴びせる事や、他の兄弟への攻撃的な態度も心理的虐待に含まれます。 また、両親同士の喧嘩による暴力行為も、子供にとって大きな心理的ダメージを与えてしまいます。このように、子供に直接攻撃していなくても心理的虐待は起こってしまうものです。

虐待としつけの違い~親ができること~

厚生労働省での『児童虐待の定義』は上記の様に「ネグレクト・身体的虐待・性的虐待心理的虐待」の4つに分けられることを紹介しました。

「しつけ」の強要は、親のストレスから暴力を生んでしまう事があります。

子供の中には自分が思うような行動を瞬時にできない子も居るのに、その姿に苛立ちを覚えてしまう親が子供に対して怒りを向けて、身体的な暴力や心理的虐待に繋がってしまうと考えられます。

「このしつけの方法は大丈夫なのかな?」
「どこまでがしつけ?どこからが虐待?」
「いう事聞いてくれないからイライラして感情的に怒鳴ってしまった…」

と子育てについて悩む親はたくさん居ると思いますが、虐待としつけの違いは以下の通りに区別するようにしてください。

『虐待』は大人(親)が自分の感情にまかせて子供を力でコントロールしようとすること。

それに対して『しつけ』は、子供が自分で自分の感情や行動をコントロールできるように冷静に、落ち着いて教えてあげることです。 

感情にまかせて子どもを責めないためにも、まずは親である自身を責めないことが大切です。
そして、核家族の場合は周囲の人との関わり方も重要になってきます。
もし人間関係やコミュニティーで悩んでいるなら、まずはあいさつを交わすことからはじめてみましょう。

また、中には「自分は虐待をしているかもしれない…」と悩みカウンセリングを受けに足を運ぶ親も居ますが、このように自身の心の痛みを取り除くことで随分と楽になるといいます。

子育てはみんな手探りで、悩み不安はつきものですからひとりで悩まず周りの人に相談をしてみましょう。

児童虐待の原因と内容、その対策のまとめ

児童虐待の原因についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

児童虐待は様々な要因が重なったとき、家族関係が不安定になる事で自分の子供に対しての虐待が引き起こされてしまいます。

ただ、子育てをしていたらイライラしてしまうのは特別な事ではなく、よくある事です。
その時に自分の気持ちや感情を落ち着かせる”切り替え方”ができれば良いのだと思います。

・深呼吸をする

・水分補給をとってみる

・家族又は友人に電話やメールで相談してみる

気持ちの切り替え方は人それぞれ違うと思うので、まずは一度試してみてください。

 

また、これは周囲の人ができる対策になりますが、

近所に住む子供や、町で見かけた子供に"違和感"を感じた場合は迷わず児童相談所へ通報するようにしましょう。

"違和感"とは、顔や身体にアザのある、夜中に一人で泣いている、服がボロボロ、お風呂に入ってないような臭いがするといった内容です。

周囲の大人が気付いた事がきっかけとなり、その子供の心や命が救われることもあります。 

厚生労働省では、こういった児童虐待防止対策として相談窓口を設けており、
この3桁のダイヤル番号『189』へかけると、住まいの地域の児童相談所に繋がります。
相談に関する秘密は守られるとのことなので、安心して良さそうですね。

(参考:厚生労働省 児童虐待防止対策

 

最後に…

NPO法人日本ららばい協会では、児童虐待の原因を知る事や防止の為に子育て支援フォーラムや講演会を行っています。

気になる方は公式サイトにて一度確認してみてください。

 

▼詳細情報▼
お問合せ:NPO法人日本ららばい協会
所在地:〒125-0054 東京都葛飾高砂3丁目13番13号三浦ビル1階
電話番号:03-6458-0283/03-6458-0284
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