児童虐待をなくすには?悲惨な結末にならぬよう、今、私たちができること
児童虐待はなぜ起きてしまうのでしょうか。
「しつけのためと自分も同じようにされてきた」
「自分の時はもっとひどかった」
「親なんだからしっかりしつけろと怒鳴られた」
「・・・本当は叩きたくない」
「イライラしてしまって叩くのを我慢できない」
児童虐待が大きな社会問題となっている今。
上記の言葉を聞いて、皆さんはどう思われますか?
虐待は言い過ぎなんじゃない?
教育のためには少しくらい叩くことも必要なんじゃない?
と思う方もいるとは思います。
児童虐待に走ってしまう親御さんの中にはこういった葛藤を抱えている方も少なくありません。
どうして児童虐待は起こってしまうのでしょうか。
児童虐待をなくすには、どうしたらよいのでしょうか。
- 児童虐待をなくすには?子どもの脳に与える影響
- 児童虐待をなくすには?「妊娠中の不安を抱える人が」できること
- 児童虐待をなくすには?「小さい子を持つ親が」できること
- 児童虐待をなくすには?「そばにいるひと」ができること
- 児童虐待から子供を守るには、行動を!
児童虐待をなくすには?子どもの脳に与える影響
脳画像の研究により、子ども時代に辛い体験をした人は、脳に様々な変化が生じてしまうことが報告されています。
親は「 愛の鞭 」のつもりだったとしても、子どもには目に見えない大きな影響を与えているかも知れないのです。
虐待を行ってしまう親は、幼少期に自分も何らかの形で虐待を受けた、
心に傷を負ったという過去があることが多いです。
自分の親も「愛の鞭」を使っていた。
だから、自分も「愛の鞭」を使って教育をする。
でも、この委縮してしまった脳を見ても同じことを言えるでしょうか。
「愛の鞭」は、本当に子どものためになるのでしょうか。
虐待は何を生むのか
日本の厚生労働省の調査データ約2万9000人分を使い、3歳半の時にお尻をたたくな どの体罰の有無が、5歳半に成長した時の行動にどう影響しているか分析した結果、3歳 半の時に保護者から体罰を受けていた子どもは、全く受けていなかった子どもに比べ、5 歳半の時に
「落ち着いて話を聞けない」という行動のリスクが約1.6倍
「約束を守れない」という行動のリスクが約1.5倍になるなど、
問題行動のリスクが高く、体罰が頻繁に行われるほど、リスクは高くなっていました。
「1つのことに集中できない」
「我慢ができない」
「感情をうまく表せない」
「集団で行動できない」
という行動のリスクも高まるとさ れています
【引用 :子どもすこやかサポートネット:https://www.kodomosukoyaka.net/research/201709-evidence.html】
体罰を行うことで、様々な弊害が生じることは研究によって証明されています。
「いい子」に育てたくて行っていた体罰が、逆に「悪い子」への近道となってしまうのです。
幼児虐待は、
〇子どもとの良好な関係性
〇子どもの社会性・協調性
〇子どもの良心
までも奪ってしまうことになりかねないのです。
児童虐待をなくすには「愛の鞭」は捨ててしまいましょう。
実際自分が幼児虐待を行ってしまったかもしれない、、、という方も、もしかすると
「愛の鞭」は、親御さんにもらったものではありませんか?
愛の鞭は、一時的には効果があるように見えるかもしれません。
でも実際は子どもは大きな声、自分に向けられる親の恐ろしい表情や棘のある言葉に委縮してしまっているだけなのです。
児童虐待をなくすには? その1.「子育てに 体罰や暴言を使わない」
体罰や暴言は一時的に効果があるように見えますが、叩くことで得られた子どもの姿は、叩かれた恐怖によって行動した姿です。
自分で考えて行動した姿ではありません。
「愛の鞭である」と親が思っても、子どもにとって大人から叩かれることはとても怖いことです。
ちょっと叩かれただけ、怒鳴られただけでも、心に大きなダメージを受けることもあります。
忙しい中でも、愛情の伝わる伝え方を考えてみませんか。
児童虐待をなくすには? その2.「子どもが親に 恐怖を持つと SOSを伝えられない」
体罰や暴力によって追い込まれる子どもの気持ちを考えてみてください
親に恐怖を感じた子供は、親に気に入られようと親の顔色を見て行動するようになります。
また、親に恐怖を感じている子どもは親に対して心配事を打ち明けられなくなります。
心配事を相談できないと、いじめや非行など、より大きな問題に発展してしまう可能性もあります。
児童虐待をなくすには? その3.「爆発寸前の イライラをクールダウン」
体罰や暴力を使わないために、イライラの爆発をどうしたらいいでしょうか。
子どもが言うことを聞いてくれなくてイライラすることは誰でもあることです。
でも、疲れたりしていてもともと抱えているストレス度が大きいと、子どものちょっとした行動をきっかけにイライラが爆発してしまうことがあります。
そんなときは、子どもから離れて10秒待ちましょう。
コーヒーを飲んだり、音楽を聴いたり、何か気分転換になることをしてみませんか。
イライラが爆発してしまう前に、自分なりのクールダウンする方法を見つけておきましょう。
児童虐待をなくすには? その4.「親自身がSOSを出そう」
大変なときには抱え込まず親自身が助けを求めましょう。
家事と育児を両立するということはとても大変なことです。
子どもが沢山いたり、家族や自分が病気を抱えたりしている場合は尚更です。
ひとりで抱え込まないで、家族に分担してもらったり、自治体やNPOなどの支援サービス(家事代行、ファミリーサポート、一時預かりなど)の利用も検討しましょう。
負担を減らすことは悪いことではありません。
児童虐待をなくすには?その5.「子どもの気持ちと行動を 分けて考え、育ちを応援」
子どもに「イヤだ!」と言われたとき、親自身が戸惑ってしまうこともあるでしょう。
2歳頃に現れる第1反抗期(イヤイヤ期)
10歳頃に現れる、気分が落ち込みがちになってふさぎ込んだり,また人に逆らって乱暴したりする時期の第2反抗期があります。
どちらも成長の過程で現れる成長の証です。
「わがままな子になっては困る」という想いから、親は上から対応してしまいがちですが、体罰をなくすには、「どうしたらいいかな?」と、子どもの考えを引き出し、必要に応じてアドバイスを出しながら、子どもの言い分を気長に聞きましょう。
児童虐待をなくすには?「妊娠中の不安を抱える人が」できること
赤ちゃんを妊娠したけれど、様々な理由から不安を抱えている方は、「妊娠SOS」という電話相談があります。
各地にありますので、ためらわずに電話してみましょう。
〇レイプなどによる妊娠、性的な虐待による妊娠で辛い思いをしている方
〇心の準備ができていないのに思いがけず妊娠してしまった場合
〇妊娠したことをパートナーや親が受け入れてくれない
〇自分自身が妊娠を受け入れられない
当てはまる方はぜひ、電話をしてみましょう。
妊娠中や出産後への悩みや不安など、お話しすることで解決のヒントを得られたり、少し気持ちが楽になるかもしれません。自治体でも相談を受け付けています。
ひとりで抱え込まないで、ぜひ連絡してください。
児童虐待をなくすには?「小さい子を持つ親が」できること
児童虐待で亡くなってしまう子どもの多くは0歳です。
まだ言葉を話して自分の気持ちを伝えられる年齢ではないこと、
親がまだ育児に慣れていないことなどが考えられます。
何もかもが初めての0歳育児で、大切な子供を守るために、
親ができることは何でしょうか。
実親からの暴力をなくすには、どうしたらよいのでしょうか。
赤ちゃんは泣き止まないことを知る
赤ちゃんは泣くことで、不快を表現します。動物と違って人間の赤ちゃんは自分で食べ物を探し食べることができません。
泣くことで、自分の困った状況を伝えるのは、生きる力なのです
おむつを替えても、授乳しても、抱っこしても、赤ちゃんはどうしても泣きやまないこともあります。大人でもそうですが、赤ちゃんも泣きたいことがあるのです。
赤ちゃんに泣かれて辛い場合には、赤ちゃんをベビーベッドなど安全な場所に置き、少し離れても大丈夫です。
どうしても辛かったら、ママ友やパパ友、祖父母などに相談したり、保健所や家庭支援センターに相談してみましょう。
赤ちゃんは具合が悪いときにも、泣いたりぐずります。
普段と違う様子が見られたら、小児科で相談してみましょう。
地域の小児科医も、子育ての相談に応じてくれるはずです。
赤ちゃんが泣きやまなくても、前後に強く揺さぶるのはNGです。
赤ちゃんの軟らかい脳にダメージを与えてしまうことになります。
電車や飛行機、または公共の場で赤ちゃんが泣いてしまうこともあります。
周囲の方は温かい目で見守ってください。
可能なら「赤ちゃん泣いて、大変ですね。大丈夫ですよ」などと声をかけてみましょう。
また、10か月未満の赤ちゃんはおなかの中にいた時間のほうが長いので、胎内に近い音を聞かせると落ち着くこともあります。
胎内音のYouTube
育児をするうえで時にはメディアを頼ることも大切です。
少しでも自分が笑顔で子育てできる環境を作りましょう。
赤ちゃんへの虐待をなくすには、まずは親のストレスをなくしましょう。
子育て支援はお母さんの支援から
かわいいわが子を守れるのは、一番身近なお父さん、お母さんです。
外に出て人とかかわることでストレスが軽減するならば、地域のイベントや子育て支援のイベントに参加してみると世界が広がるかもしれません。
日本全国で活動の場を広げているNPO法人もあります。
児童虐待をなくすには?「そばにいるひと」ができること
虐待を行っていないかと見張る必要はありません。ぜひ温かい目で、親子を見守ってください。
虐待に至ってしまうケースは、子育て不安が強かったり、夫婦関係の不仲、働きたいのに働けない、親の介護など、さまざまな不安やストレスの爆発によって引き起こされることが考えられます。
ママやパパの気持ちへの寄り添いをお願いします。
そして、気になるケースがあれば、行政の家庭支援センターや児童相談所に相談してみませんか。
心配を感じる親子について、いろいろな場所からの情報提供があることが、そのご家庭の子育てを支えるために適切な支援プランを考えたり、見守りや声がけをするきっかけにもなります。
児童虐待から子供を守るには、行動を!
どんなに待ち望んだ我が子の誕生でも、様々な理由から
愛の鞭が虐待へと変わっていく可能性は誰にでもあります。
「自分には関係ない」
「あの人は大丈夫」
と思わず、一人一人が虐待をなくすにはどうしたらいいのかを考え、
身近にいる親子に声をかけることが未来の児童虐待をなくすことにつながっていきます。
今現在悩んでいる方は、
勇気をもって相談してみてください。
親子にとって悪いことにはなりません。
親子そろって幸せに生活するための一歩を、踏み出してみませんか。